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 古谷実「ヒミズ」
 
 古谷実「ヒミズ」最終巻 を読んで 
案の定 はげしい絶望感にとらわれました。
絶対にそうなると判っていたから発売から1ヶ月間
こわくて手が出せなかったのでした。
しかし読まなくてはならぬ と エイヤと挑んだものの、
 かなしくて くやしくて  大層 取り乱しました。
 
 
住田くんという15歳の男の子は、
“「自分は特別な人間だ」と思っている「普通」な人間”を極端に厭い、
「俺は違う、強烈な幸にも不幸にも遭うことなく 一生モグラのように
 ひっそりと“普通に”暮らすのだ」と自分に言い聞かせ続けてきた、
そこだけにアイデンティティを見出していた男の子です。
 
その思考過程は、とても頭が良いのだけど同時にややバカです。 
そして 彼は内省が鋭く、
自分のバカな部分を誰よりも先に誰より厳しく 自分で責める子です。
で、「普通ナメんな!普通最高!!」とか云ってる住田くんは真面目で必死で可愛いので
本人の意図や自覚とは無関係に、
じつはさまざまな人に彼は愛され気に掛けられています。
 
 
 
そんな彼の日常が、“普通”の対極の“特別”に為すすべなく のみこまれ、
彼は 必死に抗います。何ヶ月も何ヶ月も独りで抗います。
内省と自責を繰り返しつつ。 彼は物凄く必死で、壮絶に一生懸命です。
 
 
 
 
 わたしは、 思春期の中学生男子のごとく、
 住田くんに 少なからず 自分を投影していました。
 
“自分と近しいところを持っているけど 自分よりちょっと恰好よい”住田くんは
 絶妙に わたし(を含む多くの読者)のヒーローだったのです。
 

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「闘っている」
「昨日の夜から」「ずっと闘っている」
「気力が下がり 弱みを見せた途端 すかさず魔物が襲いかかってきた」
 
「もちろん そんな事はなれっこで 今までだって何度となく乗り越えてきた」
「良くも悪くも冷静に」
「問題を正面から直視し 理解し 自分なりの答えを出してきた」
 
「でも今度のは違う」
「今までのなんて比じゃないバケモノだ!!」
 
「正面になんか立ってみろ 一瞬で踏みつぶされるぞ」
「目を開けるな」
 「逃げろ!!」
 
『………おっかねえ』
 
『…これって 絶望ってヤツじゃないの?
 ………』
 
「だって今 包丁を見たり…」「外に出たりしたら…」
「死んでしまうかもしれない」
「動くな」
「うまくやりすごせ…」
 
 
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住田くんが、 負けてしまうのか、 ひたすらはらはらと気を揉みながら、
読んできました。
 
  結末は、
よく読み込めば どのようにでも解釈できる描写ではあるのですが、
やはり、住田くんは、負けてしまった ように見えるのです。
 
かなしくて くやしくて 腹立たしくて、あんなに頑張って、あがいて、
結局 この結末しか  残されていないのか と
思わずにはいられないのです。
 
 
この結末しか残されていないのか。
 
 
「茶沢さん、聞いてくれよ!
 俺、とうとう やったんだ!
 やっぱり 俺は
 特別な人間だったんだ!」
 
終盤の この台詞が 頭の中をぐるぐる回っています。
住田くんが 
一番 ひとに云いたくなかった台詞のはずが、
一番 ひとに見せたくなかった姿のはずが。
彼のアイデンティティのよりどころが。

疲れ果て 追いつめられた 土壇場で、
この台詞が 遂に 彼の口からこぼれてしまった。
 
それが可哀相でならないし、
自分を投影していた立場から云うと くやしくて くやしくて
ギリギリと涙がにじみます。
 
畜生、住田くんは わたしのヒーローなんです。 畜生くやしい。
自分にも この結末しか残されていないような思いにとらわれます。
 
 
(ついでに、“どのようにでも解釈できる最終回”って、
 一番楽観的でしあわせな極と 一番悲観的でかなしい極が有ったら、
 やっぱり かなしい方の極に近い解釈が真実なのではないか と
 ついつい思ってしまうものではないですか…?
 わたしはいつもそうです。 「MONSTER」とかも…)
 
 
畜生。酷い絶望感だ。凄いです、古谷実。凄い漫画です、「ヒミズ」。
 
| book | 03:47 | comments(0) | trackbacks(0) |
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